「junqは、編集批判をします。」
「なぜ編集批判をするのだ。」
「炎上PVの悪心を抱いている、というのですが、誰もそんな、悪心を持っては居りませぬ。」
「たくさんの人を批判したのか。」
「はい、はじめは旧編集長のササヤン様を。それから、副編集長のゴトゥ様を。それから、賢臣のサトルーミ様を。」
「おどろいた。junqは乱心か。」
「いいえ、乱心ではございませぬ。編集を、信ずる事が出来ぬ、というのです。このごろは、ProPickerの心をも、お疑いになり、編集シンパ者には、批判をして居ります。御命令を拒めばマークされて、党員にされます。きょうは、六人入党させました。」
聞いて、編集長は激怒した。「呆れた独身党だ。生かして置けぬ。」
編集長は、単純な男であった。買い物を、背負ったままで、のそのそ独身党にはいって行った。たちまち彼は、巡邏の警吏に捕縛された。調べられて、編集長の懐中からは垢バン対象リストが出て来たので、騒ぎが大きくなってしまった。編集長は、junqの前に引き出された。
「この短文で何をするつもりであったか。言え!」junqは静かに、けれども威厳を以て問いつめた。そのjunqの顔は蒼白で、眉間の皺は、刻み込まれたように深かった。
「NPをjunqの手から救うのだ。」と編集長は悪びれずに答えた。
「おまえがか?」junqは、憫笑した。「仕方の無いやつじゃ。おまえには、わしの孤独がわからぬ。」
「言うな!」と編集長は、いきり立って反駁した。「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。junqは、編集者の忠誠をさえ疑って居られる。」
「疑うのが、正当の心構えなのだと、わしに教えてくれたのは、おまえたちだ。人の心は、あてにならない。人間は、もともと私慾のかたまりさ。信じては、ならぬ。」junqは落着いて呟き、ほっと溜息をついた。「わしだって、平和を望んでいるのだが。」
「なんの為の平和だ。自分の地位を守る為か。」こんどは編集長が嘲笑した。「罪の無い人を党員にして、何が平和だ。」
「だまれ、下賤の者。」junqは、さっと顔を挙げて報いた。「口では、どんな清らかな事でも言える。わしには、人の腹綿の奥底が見え透いてならぬ。おまえだって、いまに、磔になってから、泣いて詫びたって聞かぬぞ。」
「ああ、junqは悧巧だ。自惚れているがよい。私は、ちゃんと死ぬる覚悟で居るのに。命乞いなど決してしない。ただ、――」と言いかけて、編集長は足もとに視線を落し瞬時ためらい、「ただ、私に情をかけたいつもりなら、処刑までに三日間の日限を与えて下さい。たった一人の編集に、仲間を持たせてやりたいのです。三日のうちに、私は村で編集会議を開催し、必ず、ここへ帰って来ます。」
「ばかな。」と暴君は、嗄れた声で低く笑った。「とんでもない嘘を言うわい。逃がした小鳥が帰って来るというのか。」
「そうです。帰って来るのです。」編集長は必死で言い張った。「私は約束を守ります。私を、三日間だけ許して下さい。編集が、私の帰りを待っているのだ。そんなに私を信じられないならば、よろしい、この市にセリヌンティウスというフリーターがいます。私の無二の友人だ。あれを、人質としてここに置いて行こう。私が逃げてしまって、三日目の日暮まで、ここに帰って来なかったら、あの友人を党員にして下さい。たのむ、そうして下さい。」
それを聞いてjunqは、残虐な気持で、そっと北叟笑んだ。生意気なことを言うわい。どうせ帰って来ないにきまっている。この嘘つきに騙された振りして、放してやるのも面白い。そうして身代りの男を、三日目に党員にしてやるのも気味がいい。人は、これだから信じられぬと、わしは悲しい顔して、その身代りの男を垢バンに処してやるのだ。世の中の、正直者とかいう奴輩にうんと見せつけてやりたいものさ。
「願いを、聞いた。その身代りを呼ぶがよい。三日目には日没までに帰って来い。おくれたら、その身代りを、きっと党員にするぞ。ちょっとおくれて来るがいい。おまえの罪は、永遠にゆるしてやろうぞ。」
「なに、何をおっしゃる。」
「はは。いのちが大事だったら、おくれて来い。おまえの心は、わかっているぞ。」
編集長は口惜しく、地団駄踏んだ。ものも言いたくなくなった。(続きません)
「なぜ編集批判をするのだ。」
「炎上PVの悪心を抱いている、というのですが、誰もそんな、悪心を持っては居りませぬ。」
「たくさんの人を批判したのか。」
「はい、はじめは旧編集長のササヤン様を。それから、副編集長のゴトゥ様を。それから、賢臣のサトルーミ様を。」
「おどろいた。junqは乱心か。」
「いいえ、乱心ではございませぬ。編集を、信ずる事が出来ぬ、というのです。このごろは、ProPickerの心をも、お疑いになり、編集シンパ者には、批判をして居ります。御命令を拒めばマークされて、党員にされます。きょうは、六人入党させました。」
聞いて、編集長は激怒した。「呆れた独身党だ。生かして置けぬ。」
編集長は、単純な男であった。買い物を、背負ったままで、のそのそ独身党にはいって行った。たちまち彼は、巡邏の警吏に捕縛された。調べられて、編集長の懐中からは垢バン対象リストが出て来たので、騒ぎが大きくなってしまった。編集長は、junqの前に引き出された。
「この短文で何をするつもりであったか。言え!」junqは静かに、けれども威厳を以て問いつめた。そのjunqの顔は蒼白で、眉間の皺は、刻み込まれたように深かった。
「NPをjunqの手から救うのだ。」と編集長は悪びれずに答えた。
「おまえがか?」junqは、憫笑した。「仕方の無いやつじゃ。おまえには、わしの孤独がわからぬ。」
「言うな!」と編集長は、いきり立って反駁した。「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。junqは、編集者の忠誠をさえ疑って居られる。」
「疑うのが、正当の心構えなのだと、わしに教えてくれたのは、おまえたちだ。人の心は、あてにならない。人間は、もともと私慾のかたまりさ。信じては、ならぬ。」junqは落着いて呟き、ほっと溜息をついた。「わしだって、平和を望んでいるのだが。」
「なんの為の平和だ。自分の地位を守る為か。」こんどは編集長が嘲笑した。「罪の無い人を党員にして、何が平和だ。」
「だまれ、下賤の者。」junqは、さっと顔を挙げて報いた。「口では、どんな清らかな事でも言える。わしには、人の腹綿の奥底が見え透いてならぬ。おまえだって、いまに、磔になってから、泣いて詫びたって聞かぬぞ。」
「ああ、junqは悧巧だ。自惚れているがよい。私は、ちゃんと死ぬる覚悟で居るのに。命乞いなど決してしない。ただ、――」と言いかけて、編集長は足もとに視線を落し瞬時ためらい、「ただ、私に情をかけたいつもりなら、処刑までに三日間の日限を与えて下さい。たった一人の編集に、仲間を持たせてやりたいのです。三日のうちに、私は村で編集会議を開催し、必ず、ここへ帰って来ます。」
「ばかな。」と暴君は、嗄れた声で低く笑った。「とんでもない嘘を言うわい。逃がした小鳥が帰って来るというのか。」
「そうです。帰って来るのです。」編集長は必死で言い張った。「私は約束を守ります。私を、三日間だけ許して下さい。編集が、私の帰りを待っているのだ。そんなに私を信じられないならば、よろしい、この市にセリヌンティウスというフリーターがいます。私の無二の友人だ。あれを、人質としてここに置いて行こう。私が逃げてしまって、三日目の日暮まで、ここに帰って来なかったら、あの友人を党員にして下さい。たのむ、そうして下さい。」
それを聞いてjunqは、残虐な気持で、そっと北叟笑んだ。生意気なことを言うわい。どうせ帰って来ないにきまっている。この嘘つきに騙された振りして、放してやるのも面白い。そうして身代りの男を、三日目に党員にしてやるのも気味がいい。人は、これだから信じられぬと、わしは悲しい顔して、その身代りの男を垢バンに処してやるのだ。世の中の、正直者とかいう奴輩にうんと見せつけてやりたいものさ。
「願いを、聞いた。その身代りを呼ぶがよい。三日目には日没までに帰って来い。おくれたら、その身代りを、きっと党員にするぞ。ちょっとおくれて来るがいい。おまえの罪は、永遠にゆるしてやろうぞ。」
「なに、何をおっしゃる。」
「はは。いのちが大事だったら、おくれて来い。おまえの心は、わかっているぞ。」
編集長は口惜しく、地団駄踏んだ。ものも言いたくなくなった。(続きません)
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